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To The Editor—右嗅神経の篩骨洞内陥入について
青木 信彦
1
,
天笠 雅春
2
1東京都立府中病院脳神経外科
2東北大学脳研脳神経外科
pp.831
発行日 1985年8月10日
Published Date 1985/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436202054
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貴誌に掲載された,天笠雅春らの症例報告「嗅神経を含んだ頭蓋底脳髄膜瘤の1例」(13:313-319,1985)を興味深く読ませていただきました.その中で著者らが強調している点は,右嗅神経が篩骨洞内に陥入していたということですが,説明が必ずしも十分ではないように思われます.
つまり,本文の中で「右嗅神経を近位で切断し,嗅球をできるだけ除去し,……」とありますが,術後は「神経学的に何ら異常なく,嗅覚障害を認めず,元気に退院した」と述べています.確かに一側の嗅神経が温存されれば,自覚的嗅覚は正常に近いと思われますが,はたして,他覚的にはどうであったのでしょうか.患児は,現在6歳であるので他覚的検査は可能であろうと思います.本例のように,明確に嗅神経を切断しながら,嗅覚が温存される理由についてはどのように考えているのでしようか.
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