Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.いとぐち
悪性眼球突出症はWalsh and Hoyt35)によれば,「眼窩内圧の上昇により眼球突出や結膜浮腫をきたし,2次的に視力障害や眼球運動障害が進行して実明あるいは眼球摘出の止むなきに至るもので,甲状腺機能が正常または軽度低下を呈するもの」とされている.また本症は米国甲状腺学会(Werner37,40))によるGraves' diseaseの眼症状の分類のClass 2−Class 6に包含されるものである.臨床的には,美容上の問題もあるが,悪化,進行する眼症状の治療が,より重大かつ緊急を要する課題である.ステロイド投与,放射線治療,観血的治療などが行なわれているが,原因療法が確立されるまでは内科,眼科,耳鼻科,放射線科そして脳神経外科などの密接な協力が強く望まれる疾患である.
わが国でも本症は決して少なくないと思われるが,その報告は散見されるにすぎず,とくに脳神経外科領域での発表は皆無である,われわれはWalsh and Hoytの定義に一致する両側悪性眼球突出症に眼窩減圧術を施行し良好な結果を得たので,文献的考察を加えて報告する.
A case of malignant exophthalmos treated successfully by transfrontal orbital decompression was reported, and the definition, pathogenesis and treatment of malignant exophthalmos were discussed.
A sixty-one year old man without any symptoms of hyperthyroidism began to feel bilateral retrobulbar pain half a year prior to admission, and developed bilateral progressive exophthalmos with marked edematous swelling of the eyelids in the following two months.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.