Japanese
English
連載 教訓的症例に学ぶシリーズ
(9)外側後頭下開頭術後に発生した硬膜動静脈瘻の1例:開頭術後に発生する機序の検討
Development of Dural Arteriovenous Fistula Following Lateral Suboccipital Craniotomy
田邉 淳
1
,
石川 達哉
1
,
師井 淳太
1
,
竹中 俊介
1
,
吉岡 正太郎
1
,
引地 堅太郎
1
,
岡田 健
1
,
宇田 賢司
1
,
小林 慎弥
1
,
齊藤 浩史
1
,
古谷 伸春
1
,
鈴木 明文
1
Jun TANABE
1
,
Tatsuya ISHIKAWA
1
,
Junta MOROI
1
,
Syunsuke TAKENAKA
1
,
Shotaro YOSHIOKA
1
,
Kentaro HIKICH
1
,
Takeshi OKADA
1
,
Kenji UDA
1
,
Shinya KOBAYASHI
1
,
Hiroshi SAITO
1
,
Nobuharu FURUYA
1
,
Akifumi SUZUKI
1
1秋田県立脳血管研究センター脳神経外科
1Department of Surgical Neurology and Stroke Science, Research Institute for Brain and Blood Vessels-Akita
pp.711-716
発行日 2013年8月10日
Published Date 2013/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436102056
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Ⅰ.経験症例
患者は64歳の主婦で,主訴は心拍に同期する左耳鳴である.既往歴として2003年に左小脳血管芽腫の診断で,他院にて後頭下開頭術による摘出術が施行されたが,それ以外には家族歴ともに特記すべきことはない.
2012年1月よりめまい,ふらつきが出現し,当院で左小脳血管芽腫の再発と診断した(Fig.1).術前の検査でS状静脈洞の狭窄や硬膜動静脈瘻(dAVF)は認めなかった.2月に左外側後頭下開頭にて腫瘍全摘出術を施行した.術後の造影MRIで腫瘍は全摘出され,左S状静脈洞に部分血栓による狭窄を示唆する所見がみられた(Fig.2).術後の経過は順調で,合併症なく,自覚症状も改善し自宅退院した.しかし,2012年4月から心拍に同期する耳鳴を自覚するようになり,5月に当院を再受診した.この際,左乳様突起部で血管性雑音が聴取されたほかは,神経学的異常は認めなかった.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.