- 有料閲覧
- 文献概要
2012年10月19日午後7時からのwelcome partyを皮切りに10月22日まで,第4回の国際水頭症髄液疾患学会(International Society for Hydrocephalus and Cerebrospinal Fluid Disorders:ISHCSF)が京都市蹴上のWestin Miyako Hotelで開催された.従来,水頭症や髄液の研究は脳神経外科学会や小児脳神経外科学会といった枠組みの中で議論されてきたが,ISHCSFは医師のみならず,基礎研究者や臨床工学技士,看護師などの多領域で水頭症や髄液研究について興味をもつ人々の集まりで,まさに専門家集団の国際学会である.参加者は総勢360名近くで,過去最高の参加者数であった.演題数も240題を超え,これも過去最高であった.日本からの演題数は100題を超え,わが国の水頭症研究の成果を世界に発信できたことは素晴らしいことと考えている.とりわけ,日本の脳神経外科施設からの演題が多く,ご協力いただいたことを心から感謝している.
さて,この国際学会でのメインテーマは髄液の産生・吸収においた.Cushingより百年以上にわたり,われわれは第3循環という学説を当たり前のように信じてきたが,果たして髄液は“循環”しているのか,そして,それ以前に髄液がどこでどれくらい産生され,どこでどれくらい吸収されているのか,という基本的な疑問を解決することなく,シャント手術をすればそれで終わりとしてきた感がある.今回の学会では,髄液の産生・吸収について,わが国の佐藤修東海大学名誉教授およびクロアチア・ザグレブ大学薬理学のMarijan Klarica教授にご講演をいただいた.今回の講演を機に,この根源的な問いに迫る研究が進むことを期待している.わが国の水頭症や頭蓋内圧研究の発展はAnthony Marmarou先生の貢献による所が大きい.今回,Marmarou先生への御礼も含めて,島克司防衛医科大学校名誉教授にMarmarou先生のご功績についてのご講演をいただいた.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.