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東日本大震災からの復興の遅れ,マニフェストという新たな手法で立ち上がった政権への失望感,さらに工業生産を中心とした経済界の不況など,日本沈没的状況がメディアから日々流れてきます.しかし日本は約300年の鎖国時代でも自給自足で約4,000万人を養い,高い文化も築いていました.また戦後も類まれな経済復興を遂げ,ノーベル賞受賞者も輩出してきました.困難な現状ではありますが,今後も国内外で一生懸命頑張り,輝く日本であり続けてほしいと思います.
本号の「扉」では桐野高明先生が「さまざまな評価」と題して,メディアから発信される情報をもとに医療全般から社会全体に関わる重要な問題が検討されることが多く,正しい評価の重要性とその困難さを鋭く指摘くださっています.メディアの情報でも,個人が発信したインターネットの情報でも,発信する側と受け取る側の両方に情報を適切に評価する感性が必要であり,それは社会の成熟化の必須条件だと受け止めたいものです.「海外だより」では,脇本浩明先生から自らの人生と海外で頑張る日本人の姿を大変印象的に報告いただいています.若い先生方の大いなる飛躍のきっかけとしていただきたいレポートです.連載では杉山 拓先生に「合併症のシステマティックレビュー─適切なInformed Consentのために」第2回として,未破裂前大脳動脈瘤の外科治療に関する合併症を,2000年からの文献をもとにレビューしていただいています.また,本号の総説では,膠芽腫に対する血管新生抑制療法に関して高野晋吾先生に精力的な解説をいただいています.三矢幸一先生には研究論文,青木 司先生にはテクニカルノート,浅野 剛先生,山室 俊先生,加藤正仁先生,松原功明先生には症例報告をいただいています.いずれも明日からの実地臨床に役立つ貴重な論文です.一読いただき,情報の正しい発信と評価に一考をお願いいたします.
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