連載 脳神経外科保険診療の展望・2
医療保険審査のシステムについて--脳神経外科を中心に
井澤 正博
1
1東京女子医科大学脳神経外科
pp.203-211
発行日 2011年2月10日
Published Date 2011/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101358
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Ⅰ.はじめに
わが国の医療の根本は他に類をみない確立された国民皆保険制度である.
国民は,普遍的かつ平等に医療を受けることができ,診療にあたる医師は独自の裁量権で個々の患者に合った医療を提供することができる.一方で,昨今の国全体の経済状態の悪化,高齢者の増加と相反して,医療の高度化,複雑化,低侵襲化などが進んできており,保険診療と実際の臨床医療との間に微妙なギャップが少なからず存在する場合がある.特に高度な医療を行っている脳神経外科の領域では大きな問題である.
現行の保険医療制度のもとでは,厳然たる基本ルールがあり,保険診療を考慮しない臨床医療は問題外である,したがって多くの脳神経外科医にとっても実際の臨床の場では,保険診療について理解しておくことが必要である.
今回は保険診療のうち,特に保険審査を中心に概説する.
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