扉
終末期医療と植物状態
石島 武一
1
Buichi ISHIJIMA
1
1社会福祉法人聖ヨハネ会桜町病院
pp.1049-1050
発行日 2009年11月10日
Published Date 2009/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101048
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「脳神経外科」の扉への執筆依頼をいただき驚くと同時に困惑した.私のように現役を退いて10年以上も経った者が伝統ある「脳神経外科」の扉に文を書く資格などないと考え辞退を申し出たが,編集委員会の決定ということで受け入れられず,やむなく恥を忍んで日頃考えていることを書かせていただくことにした.それは終末期医療と植物状態患者のことである.
最近,終末期の患者に対する延命治療中止の事件がよく報じられる.古くは末期癌患者に塩化カリウムを静注した東海大事件(1991年),それに類似した事件がさらに数件続き,特に最近(2006年)耳目を集めたのは射水市民病院の7人の終末期患者に対する呼吸器外し事件である.これらの内容をみると,もう少し賢明な対処法があっただろうに,と思うと同時に,わが国における終末期医療に対する法的整備の遅れを痛感せざるをえない.
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