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Ⅰ.はじめに
近年の医用イメージング装置の発展は目覚ましく,320列マルチディテクタCT装置や高磁場MRI装置が一般的なものとなりつつある.また,手術室においては開放型MRI(OpenMRI)が普及し,手術中にも高精細なMRI画像を撮影することが可能となってきている.手術前診断,手術中の治療誘導,手術後の経過観察などに画像が大きな役割を果たしている.特に,手術中における画像の積極的な利用は,新しい術式の創生へとつながっているとも言えよう.さらに最近では,高度な画像処理技術の普及により,「コンピュータソフトウェア」が新たなる手術方式を生み出す場面へと展開しているようにもみえる.
このような流れの中で,脳神経外科領域において注目を集めている技術として,3次元もしくは4次元医用画像からコンピュータ上に仮想化された人体を構築し,それを可視化するvirtual imaging技術がある.その中でも,3・4次元医用画像からあたかも内視鏡で観察したかのような画像を得ることのできる仮想化内視鏡システムは,virtual imaging技術の核となる7,8).脳神経外科領域では,経鼻内視鏡手術,あるいは顕微鏡下手術が行われていることもあり,仮想化内視鏡システムとの親和性が高い領域とも言える.脳神経外科手術用顕微鏡画像をシミュレーションする技術は,virtual surgiscopeとも呼ばれ,脳神経外科手術を支援する新しいツールとして期待が高まっている3).仮想化内視鏡システムは,当初CT画像から気管支内視鏡で観察したかのような画像を得るシステムとして開発されてきたが,仮想化内視鏡システムの高度化ならびに高速化により脳神経外科領域においても積極的に利用されようとしていると言えよう.
以上のような背景から,本稿では,脳神経外科領域における仮想化内視鏡システムについて解説し,仮想化内視鏡システムから得られるvirtual imageの数々を紹介したい.仮想化内視鏡システムの基本的な機能,手術支援画像の生成,手術シミュレーション,神経内視鏡ナビゲーションなど,脳神経外科領域における3D virtual imagingの例について,名古屋大学医学部脳神経外科との共同研究の成果に基づいて述べる.
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