Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Ⅰ.はじめに
もやもや病は,Willis動脈輪終末部を中心とした脳主幹動脈の慢性進行性閉塞性病変で,特異な側副血行路を伴い過呼吸などによって脳虚血発作が誘発される疾患として本邦から報告された8,14,17).本疾患は幼小児期と成人期に発症のピークを持ち,その発症形式が脳虚血発作と頭蓋内出血に大別されている.もやもや病は,脳虚血と脳出血という極めて異なる発症形態を示すが,基本的には内頚動脈終末部を中心とした閉塞性病変であることから,脳血行再建術を中心とした治療法の開発,工夫が進められてきた1,4,6,7,12,18).この血行再建術には直接血行再建術と間接血行再建術があるが,脳主幹動脈閉塞の状況から判断すれば確実な直接血行再建が施行できれば速やかに正常に近い脳灌流状態へ導くことが可能と考えられる.内頚動脈閉塞性疾患に対する直接血行再建術の基本は,STA-MCA(superficial temporal artery-middle cerebral artery)バイパス術である19).しかしもやもや病のrecipient arteryは,血管壁が薄くかつ血管径が小さい状態である.したがって血管吻合では,動脈壁を確実に識別できる方法や血管壁を破損しない繊細な縫合針,糸の選択も重要である.一方,脳機能の面から前頭葉への血行再建の必要性もしばしば強調され,前頭葉への間接的な血行再建術が工夫されてきたが1,7,9),前大脳動脈への直接血行再建術も可能であり有効な手技と考えられる18).
本稿ではもやもや病に対するSTA-MCA double anastomosesとSTA-ACA(superficial temporal artery-anterior cerebral artery),superficial temporal vein(STV)を用いたSTA-STV-MCA anastomosesの手術手技に関して述べる.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.