Japanese
English
総説
術中MRIを用いた頭蓋底手術
Skull Base Surgery Using Intraoperative MRI
渡邉 督
1
,
藤井 正純
2
,
齋藤 清
1
Tadashi WATANABE
1
,
Masazumi FUJII
2
,
Kiyoshi SAITO
1
1福島県立医科大学脳神経外科
2名古屋大学大学院医学系研究科脳神経外科
1Department of Neurosurgery,Fukushima Medical University
2Department of Neurosurgery,Nagoya University Graduate School of Medicine
キーワード:
endoscopic endonasal transsphenoidal surgery
,
intraoperative MRI
,
neuronavigation
,
skull base surgery
Keyword:
endoscopic endonasal transsphenoidal surgery
,
intraoperative MRI
,
neuronavigation
,
skull base surgery
pp.429-440
発行日 2009年5月10日
Published Date 2009/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100934
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Ⅰ.画像誘導手術の登場
脳神経外科手術は,1960年代の手術顕微鏡の導入,80年代以降のX線CTおよびMRIの普及に伴って著しい進歩を遂げてきた.手術顕微鏡は,それまで肉眼で捉えることが困難であったミクロな世界を,鮮明にそして立体的に見ることを可能にし,現在ではマイクロサージェリーは脳神経外科手術における必須技術となっている.しかし,複雑かつデリケートな脳および頭蓋底という領域は,手術顕微鏡による微視的世界の拡大だけではしばしば正確に航海することが難しい.その繊細さ,脆弱性は,数mm以下の手術操作の違いがしばしば重大な後遺障害につながる.前世紀末のニューロナビゲーターの登場によって幕を開けた画像誘導手術は,繊細な操作を可能にするマイクロサージェリーに,正しい進路と位置を示す羅針盤を付与したという意味で重要な技術革新であったといえる.
ナビゲーションでは,術中の脳変形すなわちブレインシフトという根本的な問題が存在する.手術の進行に伴って,円蓋部病変では脳表が開頭縁より20mm近く落ち込むような変形や,下垂体腫瘍切除中の腫瘍組織の下垂など脳およびその周辺組織のダイナミックな変形は稀ならず経験する.こうした術中の脳変形は,術前画像を地図とするナビゲーションの信頼性を著しく損なう場合があり,ブレインシフトに対する適切な対応が急務である.これに対して,術中の脳形態の評価として術中MRI,術中CT,術中超音波,赤外線による脳形態の読み取りなど,さまざまなモダリティーが試みられており,これらの術中診断とニューロナビゲーションの統合が重要である.
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