--------------------
編集後記
佐々木 富男
pp.1046
発行日 2007年10月10日
Published Date 2007/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100638
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本号に掲載されている総説「脳損傷の病態と高次脳機能傷害―再生への展望―」,手術手技「下垂体腺腫の内視鏡下経蝶形骨洞手術」,連載「てんかんの画像と病理 4.結節性硬化症」は,どれもわかりやすく簡潔に解説されており勉強になりました.これから専門医認定試験を受ける先生方や,てんかんの手術あるいは内視鏡下経蝶形骨洞手術をはじめる先生方には大変役に立つと思われます.「八重山諸島における脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血」では,台風接近とくも膜下出血の関連に興味を持ちました.「眼窩先端部症候群にて発症した浸潤型副鼻腔~眼窩アスペルギルス症の1例」は極めて珍しい症例であり,興味深く読ませていただきました.
さて8月10~11日に,専門医認定の口頭試問が行われましたが,1つ気になる現象がありましたので述べておきます.受験者の中には非常に優秀な方もおられましたが,全体的に臨床経験が少ない印象を持ちました.最近は,立派な手術書や手術ビデオが沢山あり,受験者はそうした教科書や手術ビデオを見て勉強しているためか,脳深部の解剖などはよく理解しているものの,正確な皮膚切開線の設定,burr holeの位置,開頭範囲の設定など基本的なことがおろそかになっているように感じました.こうした基本的なことを厳しく指導する指導者が減ったためならば,受験者の個人の問題とするわけにもゆきません.現在の初期臨床研修制度を経た人たちが受験するときには,こうした傾向がさらに強くなるのではないかと憂慮する次第です.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.