扉
『文化医療学cultural medical science』とは
太田 富雄
1,2,3
Tomio OHTA
1,2,3
1医誠会病院脳機能研究所
2大阪大学
3大阪医科大学
pp.641-642
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100091
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はじめに─「文化医療学」とは
私が医学部を卒業してちょうど50年,半世紀が過ぎた.この間における日本人の倫理観・価値観は言うに及ばず,医師に対する社会の目,医師自身の価値観の変動は,激動期というにふさわしい.脳神経外科医としての私の医療通念も揺らぎに揺らぎつつこの半世紀を過ごしてきた.今,私に何ができるのか,考えてみた.
「文化医療学cultural medical science」1,2)とは,文化(哲学・宗教など)と科学(医学など)を医療の現場でうまく融合させるにはどうすればよいかを考え,問題提起しようと立ち上げた新しい学問体系である.「医者は病気を診るが病人を診ない」という患者さんからの批判に正しく応えられ,医師自身も医師であることに誇りをもつことができ,幸せでありたいというのが,この新しい学問体系発想の根源である.
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