古典のページ
器質性片麻痺とヒステリー性片麻痺の鑑別診断—1900年
J.Babinski
,
萬年 甫
pp.664-674
発行日 1967年10月25日
Published Date 1967/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431906439
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
臨床上の見地から,器質性片麻痺とヒステリー性片麻痺とを鑑別するすべを知ることが肝要必須なことはいうまでもないことであろう。事実,諸君のうちのだれ一人として,この二種類の片麻痺の予後がまつたく相異なり,またまつたく異なつた治療法を必要とすること,さらに誤つた診断をすれば,医師は患者に非常に有害な処置をしかねないことを知らぬものはない。また,考えをまとめるために,もしもこれまで一般にみとめられている古典的な鑑別症状だけしか並べないとしたら,きわめて多数の例において,鑑別は困難もしくは不可能ですらあることを長々と論ずることも不要である。医師という医師はすべて,この種の症例を観察しつけてきているのである。
器質性片麻痺とヒステリー性片麻痺を鑑別するに役立つ特徴は,つぎの二つの範疇に分けることができる。一つは身体の片側を占める運動障害と関係のある麻痺そのものの特徴(les caractères intrinsèques)であり,もう一つは運動障害とは無関係ないくつかの現象の有無麻痺がおこつたときの状況,ならびに麻痺がおこつた場所などに関する麻痺以外の特徴(les caractères extrinsèques)である。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.