Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
脳卒中は現在の日本で最もありふれた疾患の1つである。全国の脳卒中死亡率の推移を秋田県のそれと比較した児島は,1900年当時から秋田県の脳卒中死亡率は全国第1位であり,さらに日本が脳卒中死亡の最も多い国であることから,秋田県は世界最高の脳卒中死亡多発地区であると述べている1)。ただし主要疾患の死亡率をみると,戦前は結核,肺炎など感染症がきわめて多く,脳卒中はそれらの感染症に次いで多い疾患であった2)。当時の脳卒中死亡は大正初期に低下したものの,その後徐々に増加傾向を示していた。戦中には脳卒中は少なくなったと考えられ,終戦直後は戦前よりはるかに低い死亡率になっていた。戦後になると脳卒中は急激に増加し,全国統計では1951年から結核に代わり死因の第1位を占めた。第1位は1980年までの約30年間続き,その後癌に代わって第2位となった。その5年後の1985年には,心疾患に代わり第3位となり現在に至っている。このことから,脳卒中は戦後の我が国を代表する重要な疾患であり,しかも現在は減少しつつある疾患といえよう。その推移の中で,1969年から1974年までの脳卒中死亡データをまとめた成人病の疫学分布研究協議会の報告3)では,とくに秋田県を取り上げて「秋田県一帯では死亡比のきわめて高い市町村が集積しているが,その中でも高低の差がみられる。
Along with a recent progress in the diagnosis and management of stroke, there has been remarkable changes in the clinical features and outcome of stroke. From the view point of current problems in the prevention and management of stroke, we reported a brief history of stroke research in Akita prefecture, and the results of the stroke registration system which has been operated in the Akita prefecture. The discussion can be summarized as follows:
1. Based upon the literature on the epidemiological trends of stroke incidence since 1900, Akita prefecture is considered to be one of the noteworthy areas in stroke research.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.