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特集 Pandysautonomia—その基礎と臨床
序論—Pandysautonomiaのもつ意義
Pandysautonomia: its clinical and scientific significance in neurology.
平山 惠造
1
Keizo HIRAYAMA
1
1千葉大学医学部神経内科
1Department of Neurology, School of Medicine, University of Chiba
pp.183-185
発行日 1989年4月10日
Published Date 1989/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431906273
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I.なぜpandysautonomiaか
Pandysautonomia(汎自律神経障害)という言葉でまとめられる一つの特異な病態がある4)。自律神経系がかなり選択的に,かつ広汎性に障害されるもので,交感神経系も副交感神経系も併せて障害されるとともに,広く各種臓器・器官(心循環,呼吸,体温,瞳孔,消化・吸収・代謝,発汗,排泄,など)に機能障害をもたらすものである。このような範疇に入るいろいろな報告があるが,それらを大局的に眺めると,acute pandysautonomiaとchronic pandysautonomiaの2つにまとめられる(表1)。この両者は急性と慢性の違いをもつだけでなく,前者は治癒性curableであり,後者は進行性progressiveであることが注目される。前者はアレルギー性炎症性allergic inflammatoryであるのに対し,後者は一般に変性性degenerativeととらえることができよう。
ところで,このようにpandysautonomiaをacutecurableとchronic progressiveの2つにとらえてみると,類似した病態を運動神経系疾患に求めることができる。すなわち,急性で主に末梢性運動神経を侵すGuillain-Barre症候群と,慢性進行性の筋萎縮性側索硬化症で代表される運動ニューロン疾患と,である。
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