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特集II MPTPによるパーキンソニズム・モデル
概説
Introductory note.
楢林 博太郎
1
Hirotaro NARABAYASHI
1
1順天堂大学医学部脳神経内科
1Department of Neurology, Juntendo University School of Medicine
pp.791-795
発行日 1987年10月10日
Published Date 1987/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905929
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1983年にLangstonらによって最初のヒトのMPTP症例が報告13)されて以来,MPTPはヒトのパーキンソン病(PD)の病像を最もよく再現する外因物質として注目されてきたことはよく知られている。ヒトの症例,および実験動物におけるMPTPパーキンソニズムの記述と分析の論文は優に数百を超える。本邦においても,今井によるすぐれたレビューがみられる11)。
パーキンソニズムを惹起する薬物ないし外因性物質としては,これまでにも抗精神薬の連用や,マンガン中毒,COやまたCS2の吸入などが知られており,動物実験においては6-hydroxydopamine(6 OHDA)やharmalineなどが知られている。これらの既知の薬物や外因がPDの症状の一部を構成,再現するにすぎないのに対して,MPTPはより広範に,またより忠実にPDの症状群を再現し,またそのモデルは1-Dopaその他の抗パ剤に対してもPDと類似した反応を示すことが次第に明らかとなった。さらにヒトの1例の剖検例において黒質病変が見出されたことによって著しい注目を集め,PD発症の原因論において,MPTPまたは類似物質のもつ役割とその可能性が論じられるに至った。
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