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はじめに
長い間,謎とされていたスクレイピー,クロイッフェルト・ヤコブ病(CJD)の病原体の本体についての研究は,1980年代に入ってからPrusinerらによるプリオンの研究を中心に急速な進展をみせている。
生化学的および分子遺伝学的研究からプリオン蛋白をコードしている遺伝子が同定され,これが細胞の遺伝子であることが明らかにされ,またこの遺伝子の近傍にスクレイピーの潜伏期の長さを支配する遺伝子の存在も示唆されている。これらの知見から,プリオン説の内容は最初に提唱されたときのものから大きく変わってきている。一方,形態学的ないし生物学的知見を中心としたSAF説がブリオン説に対抗していたが,これも最近ではプリオン説にある程度の歩み寄りをみせている。
Research on the nature of scrapie and Creutz-feldt-Jakob agent which has been an enigma for long time has recently showed a marked progress stimulated by prion hypothesis.
Biochemical and molecular genetical studies led to the identification of a cellular gene encoding prion protein, and moreover, the linkage of a putative gene which controls the incubation period of scrapie infection with prion gene.
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