Japanese
English
特集 注意と注意障害
注意の神経機構—序にかえて
Neural mechanisms of attention: An introduction.
酒田 英夫
1
Hideo SAKATA
1
1東京都神経科学総合研究所神経生理学研究室
1Department of Neurophysiology, Tokyo Metropolitan Institute for Neurosciences
pp.769-770
発行日 1986年10月10日
Published Date 1986/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905823
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
「注意とは,或る対象への精神の集中である」と定義されている。それはどんな脳内メカニズムで起こるのだろうか。注意には自然に生じる注意と意志的注意の2種類があるという。自然の注意は,たとえば新しい物に注意を惹かれるような場合である。意志的注意は意図的に空間のある場所に注意を向けるとか,たくさんある物の中からある特定の物を選び出すときなどに働く。もし注意に意志が働くとすれば,それは脳の高次の領域で起こるはずである。それなら大脳皮質のどこかに注意に関係した領域があるかもしれない。
歴史的にみるとそのように注意の機能局在に最初に目を向けたのは臨床神経学の人達であった。注意の障害が脳の局所的な損傷によって起こることを初めて明らかにしたのは,Balint(1909)であろう。両側の頭頂葉の損傷で起こるBalint症候群の中には精神注視麻痺と並んで視覚的注意の障害が含まれている。
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.