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はじめに
下垂体腺腫は臨床的に,腺腫自身よりホルモンが分泌されるか否かにより,機能性腺腫(functioning adenoma)と非機能性腺腫(non-functioning adenoma)に大別される。前者に属するものとしては末端肥大症,Cushing病,プロラクチン産生下垂体腺腫が代表的なものとして挙げられる。いずれも下垂体腺腫としての症状ばかりでなく,それぞれの腺腫から分泌される過剰のホルモンが生体に種々の影響を及ぼす。ゆえに下垂体腺腫の治療は,腫瘍としての周囲組織への圧迫症状の除去とともに,それぞれの腺腫から分泌される過剰ホルモンの正常化および,それに伴なって見られる症状の改善,異常内分泌動態の正常化が目標となる。非機能性腺腫においては,内分泌症状としては下垂体機能低下症を呈するが,この症状で診断が下されることは少なく,むしろ大きくなった腫瘍による圧迫症状で見つかることが多く,この場合は圧迫症状の除去とともに下垂体機能低下症に対するホルモン補充が治療の目標となる。
現在,下垂体腺腫の治療法は外科的療法,内科的療法(薬物療法),放射線療法の三つが行なわれている。本稿では各種下垂体腺腫の治療に関して,当教室における外科的治療法の成績の紹介とともに,内科的療法に関し文献的考察を加える。
Summary
Clinically, pituitary adenoma is roughly classified into functioning adenoma and nonfunctioning adenoma according to whether hormones are secreted from adenoma or not. Typical of the former type of adenoma are acromegaly, Cushing's disease and prolactinoma. In all of these types of adenoma, not only symptoms of the pituitary adenoma as such develop but the body is affected by the excess hormones secreted from the adenoma.
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