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I.はじめに
てんかんの示す臨床症状は,てんかん性異常発射に捲き込まれた脳内ニューロン群の機能に対応するものと理解されている。このような解剖学的,生理学的理解に基づいて,てんかん発作の国際分類2)では,その異常発射の起始部位が大脳の半球内にあると認められる場合に,これを部分発作とし,さらに,そのうち,一般に意識障害を伴なわないものを要素症状性部分発作(partial seizure with elementary symptomatology)あるいは単純部分発作(simple partial seizure)として分類している。ところで,この国際分類では,この単純部分発作の中に,失語性発作(aphasic seizure)2)が挙げられているが,失語性発作に限らず,その他の神経心理学的症状が発作症状として出現しうることは十分に推定されるところである。しかし,実際には,そのような症例の報告は少ない。その理由としては,このような発作が稀なものであるということも考えられるが,いっぽうでは,神経心理学的症状のみを示す発作では,それが単発性,一過性であるかぎり,これをてんかん発作として確認することが難しいという事情にもよるであろう。実際,これまでの報告例を見ると,発作重延状態(status epilepticus)であるか,臨床症状が遷延した状態で,初めてこのような発作が明らかにされている3,4)。
Abstract
A 22-year-old right handed female had 2 epi-sodes of impairment of various neuropsychological functions and visual disturbance. During these episodes, she was cooperative, oriented and her memory returned almost completely, later.
In the first episode, which was accompaniedwith repetitive electrographical seizures in the left occipital area on the electroencephalographs, right homonymous hemianopsia, amnestic aphasia, ideational apraxia, Gerstmann syndrome and color agnosia were observed.
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