特集 神経学における最近の研究
<臨床>
小児の脳神経外科
桑原 武夫
1
,
桑名 信匡
1
1横浜市立大学脳神経外科
pp.889-891
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904975
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脳神経外科学の最近20年間の進歩は実に目ざましいものである。これに伴って小児脳外科も発展し,世界各地の小児病院では必須の診療科となり,そこでは小児脳外科を専門とする脳外科医が診療,研究に従事している現状である。また大学の脳神経外科教室内には,多くは小児の脳外科を研究するグループが存在している。国際小児神経外科学会は第1回が1973年東京で開催され,以来毎年世界各地で順次開催されている。この国際学会には,毎回わが国からも多数が出席し,多数の研究発表が行なわれている。筆者らは,1975年10月トロントで開かれた第3回本学会に出席する機会を得たが,その時の演題数が全部で39題,そのうち7題はわが国の研究者による発表であった。国内では,第1回小児神経外科学研究会(会長,川淵純一教授)が昭和48年発足し,以来毎年各地で順次研究会が持たれている。この会では毎回テーマがしぼられて発表,討論が行なわれ,盛況をきわめているが,この会の発足を契機としてわが国では,一段とこの方面の研究が盛んになったよう思われる。
以下,紙数の都合もあり,小児脳神経外科のうち,先天奇形と脳腫瘍の二つにしぼって最近の進歩を述べることにする。その前に,診断法の進歩について述べねばならないが,これは,脳神経外科全般に通じることであるので割愛することとし,最近の大きな話題であるCT-scanについてのみ略記しておく。
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