特集 神経学における最近の研究
<臨床>
悪性脳腫瘍の非手術的治療
佐野 圭司
1
1東京大学医学部脳神経外科
pp.878-880
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904971
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現在までのところ化学療法や免疫療法のみで脳腫瘍の治癒を期待するのは無理である。また,放射線療法もpinealoma(germinoma)やmedulloblastomaには有効であるが,その他の腫瘍ことにglioblastomaにはかならずしも効果を示さない。それで現在可能なのはこれらを組合わせて,腫瘍細胞の数をできるだけ減少させ(寛解導入),さらにその状態を維持(寛解維持)して,ついには治癒にみちびくということである。
すべての腫瘍はproliferating poolとnon-proliferating poolを持っている(図1)。前者においては腫瘍細胞はその腫瘍についてほぼ一定したcell cycle time(有糸分裂期,M phase+分裂後休止期,G1 phase+DNA合成期,S phase+合成後休止期,G2 phase)をもって分裂している。後者においては腫瘍細胞は一時休止しているのであって,いわゆるG0 cellsである。そのほかに後者には腫瘍細胞が壊死や変性におちいったnonviablepartもある。proliferating Pool cellsの全腫瘍細胞群に対する比はgrowth fractionと呼ばれる.また腫瘍においても死滅して組織から失われてゆく細胞は少なからずあるが,その数と分裂によって新たに増加した細胞の数との比をcell loss factorという。
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