特集 神経学における最近の研究
<生化学>
精神疾患とホルモン
高坂 睦年
1
1岡山大学医学部脳代謝研究施設病態生化学部門,脳代謝神経科
pp.730-733
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904912
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生物に雌雄の別を産み,雌雄によってその行動形式が変り,思考の内容まで変ってくるが,それが胎生初期における男女別性ホルモンの生殖器原基に及ぼす作用から始まることを思えば,ホルモンがいかに精神作用に重要な働きをもっているかということが理解できよう。生物の本能の第一が生殖本能であり,人間の情緒・意志・思考など複雑な精神作用もその背後にはいつも生殖本能が影をひそめているのである。精神疾患の場合には個体全体としての障害として,本能の歪みや異常強化や,減弱,消失などが起こってくる。そして本能を支えている各種ホルモンの生成分泌に変化を見るのが普通である。
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