特集 神経学における最近の研究
<生化学>
血液脳関門
高垣 玄吉郎
1
1東京都神経科学総合研究所神経生化学研究室
pp.724-725,738
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904909
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1.血液脳関門か脳血液関門か
近ごろ,脳血液関門という言葉が用いられることがある。すでにしばしば論じられているように,血液脳関門は形態としての構造を意味するのではない。血液中に加えた色素によって脳が染まらないという現象を示している8)。関門の局在は最近の研究でかなり明らかになり,脳毛細血管の内皮細胞層が関与していることが示された。しかし,関門が現象であることに変りはない。血液から脳へ物質が移行しにくいという方向性のゆえに呼ばれるのであるから,血液→脳であって,血液脳関門でなければならない。血液脳関門の現象の内容を表現するために,brain barrier systemとかbrain barrier functionという用語が提唱されたことがあるが,この用語法は納得することができる。しかし国際的に一般には,まだblood-brain barrierが用いられている。日本語の用語としては,血液という語を入れるかぎり,血液脳関門が正しいと思われる。
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