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はじめに
精神分裂病の成因をめぐる論争は,なお,心因論から器質論にわたり幅広く展開され,容易にその結論に到達する緒さえ見出されない。しかし,精神医学者の一部が哲学的思弁的に高踏的な論議を闘わせている一方において,神経生物学の領野における急速な進歩から,神経化学,神経薬理学,神経解剖学者らが,神聖な「心」の世界に踏み込んできて,次々に仮説を立てて,分裂病の病因に迫ろうとする動きが年を追って活発化し,その成果には瞠目すべきものがある。とくに分裂病の治療に定着しつつある抗精神病薬の作用機序に関連して,脳内神経伝達物質の知見が累積されるに及び,分裂病の器質説はますますその確率の確からしさを深めつつある。本項は,それらの知見に関して触れつつ,私見を加味して,多くの仮説の中からdopamine仮説を選び,これを検証することを目的とすることにする。したがって,総説的になることをあらかじめお断わりしておく。
In recent years, many biological studies have been made about the establishment of the pathogenesis of schizophrenia, and many attractive hypotheses of neurochemical, neuroanatomical, neuroendocrinological and neurophysiological changes in brain were presented. And, indeed, as will be mentioned below, an abnormal neurotransmission, dopaminergic hyperactivity theory is the most testable hypothesis in all of these hypotheses.
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