特集Ⅱ ミオパチーの疫学と臨床
病的骨格筋とミオグロビン
天児 民和
1
,
小林 晶
1
,
徳永 純一
1
,
浦門 忍
1
,
古賀 順一
2
1九州大学医学部整形外科
2国立福岡中央病院整形外科
pp.350-357
発行日 1965年7月25日
Published Date 1965/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904183
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
筋肉内呼吸色素であるミオゲロビンは,循環呼吸色素ヘモグロビンと同様,ヘム蛋白質としてヘムとグロビンより構成されています。
両者の呼吸色素としての共通点はいうまでもなく,高い酸素親和性であります。しかし,第1図に示しますように,両者の酸素解離曲線を比較いたしますと,後者は双曲線型であります。このことは,いかなる酸素分圧の下においても,ヘモグロビンと結合している酸素は容易にミオグロビンに移行することを意味しています。いいかえますと,ミオグロビンはヘモグロビンによつて運ばれてきた酸素を受取つて貯蔵し,急激な筋の活動にさいして大量の酸素を放出し,筋代謝の酸化過程に関与していることを示唆するものであります。ミオグロビンの測定法には種々の方法が提唱されていますが,比較的容易な操作によつて,ミオグロビンの変動の様相を追究する目的より,分光学的方法がもつとも妥当と考えました。第1,2表で分りますように,ミオゲロビンの吸収極大はヘモグロビンのそれにきわめて似かよつていますため,両者混在の試料では測定が不可能であります。de Duve,Biörckらは,両者の吸収極大の差がもつとも大きい一酸化炭素型として測定することを推奨していますが,私どもは,津島らの方法により,硫安に対する両者の溶解度の差をもつて分離し,シアン化物として測定する方法を採用いたしました。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.