Japanese
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特集 小児神経病学
新生児の脳出血
Intracerebral Hemorrhage in Newborn Infants
田 章吾
1
,
吉倉 範光
1
,
小坂 啓之
1
Shogo Den
1
,
Norimitsu Yoshikura
1
,
Hiroshi Kosaka
1
1日本大学医学部小児科
1Dept. of Pediatrics, Nihon University, School of Medicine
pp.289-305
発行日 1962年7月25日
Published Date 1962/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903964
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I.
新生児の脳出血の原因については,脳性小児麻痺の病理発生論がそのまま適用されるので,出産前,出産中,出産後の循環障害を生ずる諸因子が理論的には考えられ,その細目についてはカービル(Courville)の論文1)が要をつくしている。すなわち1)出産前の循環障害は,母体の血行,胎盤,臍帯のいずれを通して作用するにしても一様に無酸素効果を胎児の脳に及ぼし,2)出産中の循環障害は1)のほかに胎児の心臓,呼吸と血管運動中枢の機能不全が加わり,効果としては同じく無酸素症であり,3)出産後には,現実の出血と閉塞が脳損傷を生ずるとする。つまりCourvilleのは一貫して無酸素症説である。
出産前の病理発生は一般に確認が困難で,病理組織的報告としては,シルベスタ(Sylvester)の臍帯障害,胎盤後部出血の例2),クラーク(Clark)らの内頸動脈の出産前閉塞の報告3)くらいしか私たちは知らない。Clarkらの例は,中大脳動脈の閉塞を妊帳前後の数日間に生じたもので,その血栓は胎盤の壊死組織と想像された。
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