研究
新生児眼底出血について
松谷 芳子
1
,
菊池 君枝
1
1東北大学医学部附属病院産婦人科
pp.19-21
発行日 1961年1月1日
Published Date 1961/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202054
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はじめに
東北大学医学部産婦人科教室では,早くから新生児の眼底検査が行われていた.眼底検査は眼科領域の疾患のみならず,高血圧症等内科的疾患の診断においても欠くべからざるもののひとつになつている.この理由は解剖学的に眼底の血管は脳内の血管の直接の延長である事と,またそれを肉眼で生のままの状態を観察する事ができるという事にある.産科領域においてもせまい産道を押し拡げながら娩出される新生児,更に鉗子分娩の場合等を取上げてみる時に,容易に眼底出血更には頭蓋内出血を起しやすいのではないかという事が推定されるものである.また更にこのような新生児が発育旺盛なこの時期に脳血管が障害される結果として,その後の精神活動,肉体活動にすくなからぬ影響があるのではないかという事は容易に予測される問題であると思われる.そこで私達看護にたずさわるものとして,看護面からまた保健指導の立場から種々観察してみたので以下に述べてみたいと思うが,先ずそれではどんな時に眼底出血が多く発生するかを,当院の分娩記録を基にして当科の小山鉄男先生が調べられたものを次に紹介する.
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