Japanese
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展望
血脳関門研究の展望
A View of Recent Studies on the Blood-Brain Barrier
森田 昭之助
1
,
諏訪 望
1
1北海道大学医学部精神医学教室
pp.768-778
発行日 1961年12月25日
Published Date 1961/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903954
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I.はしがき
最近の研究業績を述べる前に従来迄のこの問題に関する研究を一応振返えつておくことも必要と思われる。この点については我が国に於ても既に2,3の綜説的な紹介*42)71)があるので,代表的なものについて簡単に触れるにとどめたい。動物に色素を注入すると,他の臓器が染色されるのに,脳が染色されないことを最初に認めたのはPaul Herlich1)であるといわれている。彼はCoerulein-Sを静注してそのことを発見し,その後Roux & Borrelは破傷風毒素,Biel & Krausは胆汁色素,Lewndowsky等2)はフエロチアンソーダ等により,これ等の物質を直接髄腔内に投与すると著明な脳症状を呈するのに,極めて大量の静注によって何等の症状も示さないことを見出し,次第に血脳関門の重要性が注目されるkうになつた。しかし最初の系統的な実験としては,Goldmann3)の業績を挙げることができる。彼は比較的分子量の小さいコロイド状の酸性色素であるTrypan-blueを用いたのであるが,その後この色素が関門機能検査に重要な役割を演じ,多くの実験者により用いられている。
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