Japanese
English
特集 脳血管性障害・II
脳動脈硬化と眼底血管の変化に就いて
The Relationship between the Brain-Arteriosclerosis and Retinal-Arteriolosclerosis
樋渡 正五
1
Shogo Hiwatari
1
1日本医科大学
1Department of Ophthalmology, Nippon Medical School
pp.562-577
発行日 1961年9月25日
Published Date 1961/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903935
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I.緒言
医学の各方面の進歩に伴つて,人間の平均寿命が延長した結果,老年者の数が著しく増加した。中でも脳血管障害による死亡は死因の筆頭を占めるに到り一般人の之に対する関心も著しいものがある。この脳血管障害の一つとして高血圧に基く各種の変化の他に.脳血管の動脈硬化の問題がある。高血庄の本態が究明され尽くしていない今日,高血圧と関連の深い脳動脈硬化にも亦幾多の疑問なしとしないわけであるが,この脳動脈硬化の病理並びに臨床更には治療面に関しては之迄幾多の業蹟が発表せられたにも拘らず,尚之が常に重要なテーマとして取上げられるのは,それ相応に理由があるのであろうし,殊に臨床的の面では之を的確に判断し,又診断に困難を感ずる場合が多いことにもよると思われる。
眼科的方面から脳血管の動脈硬化を臨床的に取上げることになつたのは,眼という一つの器官の中でも眼底血管が脳血管の1分枝であるということと,更には我々が眼底をのぞくことによつて,いながらにして生のままの動脈及び静脈をあるがままの相で確実に精密に観察出来るという事が最大の原因であろう。
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