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現代の神経生物学はかつてないほど多彩な技術を駆使して脳の機能の謎に迫ろうとしているが,その技術の主体は電子顕微鏡,微量分析,微小電極法などのいわゆるミクロの諸方法である。ここでは微小電極を利用した最近の生理学的研究の成果から,小脳半球の機能がどのような観点にたって検討されつつあるかを概説したい。
驚くべきこと(または当然のこと)かもしれないが,小脳半球が全体として果たしている機能を生理学者はまだ知らない。大まかな言い方が許されるならば,小脳半球が関係するヒトの小脳症状は主に随意運動の協調の障害である。動物の小脳を破壊すると同様な障害が現われる。そこで,小脳半球は正常な運動の発現や調節に大きな役割を演ずるらしいことがわかる。しかし,中枢神経系のようにニューロン集団の連鎖で構成され,しかもある程度の可塑性を有する系では,破壊の効果は局所にとどまらない。厳密にいえば,中枢神経系の中で小脳半球が分担している機能を知るには,まず小脳自体の神経性情報処理機構を解明するとともに,小脳へ流入する情報の時間的および空間的パターンの発生機序を知り,また小脳から流出する情報がその標的である脳部位や筋肉の活動の上でどのような効果を表わすかを把握しなければならないであろう。
The aim of this review is to give functional implications of the cerebellar hemispheres on the basis of recent microelectrode studies. The neuronal circuits within the cerebellar hemispheres are essentially the same as those of other cerebellar regions. Specificity in the hemispheric functioning may thus depend largely on the extracerebellar circuits which construct the afferent system to the himispheres and the efferent system there-from. Three hypotheses have been proposed: 1)
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