特集 集合住宅
集合住宅と母性保健
本多 洋
1
,
石井 明治
2
Hiroshi HONDA
1
,
Akiharu ISHII
2
1三井記念病院産婦人科
2聖マリァンナ医科大学産婦人科
pp.791-797
発行日 1985年12月15日
Published Date 1985/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207155
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■はじめに
従来わが国の住居は平屋の一戸建てが主流であったが,戦後中高層の集合住宅が定着しだし,限られたスペースと予算で寝室・食堂・浴室・水洗便所など,生活に必要な一切の機能をコンパクトにまとめた中高層住宅,とくに2DK住宅が多数建築されてきた1).この中高層住宅は,安全性や緑地などの環境面では一般住宅の水準をぬく状態にあるが,大部分は都心からやや離れた近郊に存在すること,高層住宅のスペースが狭く,家族の構成が核家族であることなどの欠点をもっている.したがってこれから始まる高齢化社会への対策と同時に,母子保健の立場から,生殖年齢にある女性とその胎児・新生児に対する管理など,多数の問題を含んでいる.
本稿では中高層集合住宅のもつ特性が,妊娠,分娩に及ぼす影響を母子保健の観点より検討してみる.
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