Japanese
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特集 第8回「脳のシンポジウム」
主題:神経病における疫学的研究
疫学的アプローチの原則—SMONを例として
Principles of epidemiological approach: SMON as an example
重松 逸造
1
Itsuzo SHIGEMATSU
1
1国立公衆衛生院疫学部
1Department of Epidemiology, Institute of Public Health
pp.7-14
発行日 1973年2月10日
Published Date 1973/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903465
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I.はじめに
疫学の特徴が,人間集団を研究の対象とする点にあることは周知の通りであるが,このことは,疫学が人間社会に生起する疾病の実際の姿を把握する機会にもっとも恵まれていることを意味している。一方この点,つまり実社会を研究対象とする点が,方法論的にいってもっとも困難とされているところであり,これに科学性を与える努力が今日までの疫学の歩みといっても過言ではない。
疫学的方法も当然科学的方法の一般原則にしたがっている。すなわち,観察,記録,解析,仮設の樹立,検証という手順を経て因果関係を立証しようとするわけであるが,人間集団という窓口を通じて健康障害に関する因果関係を追求するのが疫学的方法ということができよう。上述した手順に対応して,疫学的方法も記述疫学的,分析疫学的および実験疫学的の3方法に分けられている1)。
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