Japanese
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特集 シナプス Ⅰ
アセチール・コリンエステラーゼの電顕組織化学
Electron Microscopic Histochemistry of Acetylcholinesterase
清水 信夫
1
,
今本 喜久子
1
Nobuo Shimizu
1
,
Kikuko Imamoto
1
1大阪大学医学部,高次神経研究施設,神経解剖研究室
1Institute of Higher Nervous Activity, Osaka University Medical School
pp.725-734
発行日 1970年3月25日
Published Date 1970/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903075
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I.はじめに
アセチール・コリンエステラーゼ(AchE)の電顕組織化学について述べるには,まず順序としてこの酵素の意義,その光学レベルの組織化学について触れねばならない。AchEはアセチール・コリン(Ach)の水解に関与する酵素で,Ach作用を時間的,空間的にcontrolし,その関与する作用,ことに神経伝達に重要な役割を演ずる。Achは末梢において運動神経の神経筋接合,交感,副交感神経節前線維,副交感神経節後線維に存在して伝達物質として作用することは明らかであり,中枢神経においてもいくつかのシナプスの伝達に関与するとされている。このようなコリン作動性ニューロンではAchは,リン・アセチラーゼ作用によつてアセチール基がCo-Aよりコリンに添加されて形成され,シナプス小胞中に貯えられている。神経のインパルスによつてこのAchの多数の量子が放出され,シナプス前膜を通過してシナプス後膜に作用,そのイオン透過性を変化させて脱分極を起し,電位を徐々に増大させてスパイク電位を発生させる。Achがその作用を発揮すると同時にAchEに水解されて作用を失う(Eccles,19649)参照)。
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