第2回神経病理懇話会 脳炎・膠質細胞
特別講演 神経病理学の今昔談
内村 祐之
1
1東大
pp.61-64
発行日 1962年3月25日
Published Date 1962/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901870
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特別講演ということですが,特別に申し上げるほどのこともありません。ただ神経病理については私古くから興味を持つており,ことにその経過を見ていると,苦労をしておられる古い方々がたくさんある。そういうような人々の昔話を少しお話ししたならば,多少皆さまにためになるのではないかと感ずるわけである。私自身,絶えず新しい学問の進み方に注意はしておりますが,しかし同時に現在までになつてきた過程というものは,誰でもが,いかなる学問の道においても注意し,またそのために骨を折つた人々を尊敬しなければならないという気持が深くあつて,そういう意味でいろいろの伝記もしりを好んで読みますし,またいろいろの逸話というようたものも非常に注意をもりて聞いているようなわけです。従つてこれからの20分間は,固い話というよりも懇談会かパーティぐらいのところでお話しする性質の内容しかないと思いますから,楽な気持でお聞き取りを願いたい。
今年Münchenで国祭神経病理学会が開かれるというのは,なかなか意味のりあることだと私は思います。と申すのは,近代の神経病理学がその近代性を備えた最初は何んであるかと申すと,これは誰が何んといつても,Nisslがその染色法を発見したということであると思う。
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