Japanese
English
学会報告
米国に於ける中枢神経生理学研究の断面
A side view of neurophysiological researches in the U.S.A.
稻永 和豊
1
Kazutoyo Inanaga
1
1九大精神神経学教室
1Dept. of Neuro-psychiatry School of Medicine, Kyushu University
pp.169-173
発行日 1956年12月1日
Published Date 1956/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901556
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滞米中に見聞した神経生理関係の状況に就いて述べよう。先ず昭和28年夏,Wisconsin大学で2ヵ月足らずを過しその間に,ここの生理学教室のWilliam E. Stone博士,Clinton N. Woolsey教授に面会する機会を得た。Stone博士は10年以上も前にはYale大学のDusser de Barenneのところで仕事をしていて,Strychnine neuronographyをやつたことのある人には親しみ深い1941年の「硝酸ストリキニーネの大脳皮質局所塗布に対する反応』の仕事をDusser de Barenne,Marshall,Nims等と共にやつている。それ以来ずつと大脳の代謝方面の仕事をしていて,hypoxia,痙攣時における脳の代謝の研究,脳外傷の際における脳の化学的変化などと,やや臨床神経化学に近い仕事をしている。Stone博士の紹介でちょうど実験中のWoolsey教授に会うことが出来た。ちょうど蝸牛殻神経刺戟による視床の誘発電位の実験をやつていて,Horseley-Clarkを用いず皮質を吸引して除去し視床部分を露出させて誘導していた。Woolsey教授の仕事は最近でも大体聴覚系の誘発電位法による研究で動物は猫猿のみでなく大ネズミにも研究の対象は及んでいる。
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