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はじめに
アルツハイマー病(Alzheimer's disease:以下ADと略す)研究は神経病理学に始まり,生化学,分子生物学にその領域を広げてきた。最近の分子遺伝学によるAD家系調査からアミロイド蛋白前駆体(APP)1)とプレセニリン1,22-4)が早期発症の原因遺伝子として,アポEアレルε4が晩期発症型および孤発性ADの危険因子5)として同定されてきた。遺伝性の有無にかかわらず,これらのADは共通の病理学的分子機構があるものとみなされているし,実際脳内の神経病理学的特徴には本質的な区別がない。ここでは,神経病理学的特異構造物である老人斑についてとくに注目し,その成因機構を検討する過程で原因遺伝子の機能を探る。つまり,遺伝子変異が疾病理解の基礎にあり,その表現形フェノタイプとして老人斑を解析することを意味する。Aβ自身が二つの成分であることが確定したことから,どの成分がアポEアレルε4と相関しているかを詳細に検討することは,ADのアミロイドーシスの分子機構を知る上できわめて重要である。ここでは,免疫組織学的検索とELISAによる生化学的分析によって二つのAβ成分について個別に定量分析した結果を解説する。もちろん老人斑を構成するアミロイド蛋白Aβの病理学的な生物活性である神経毒性の意義に関して議論することはそれ自身独立した重要な研究課題であるが,本論では触れない。
Alzheimer's disease (AD) is the most common cause of progressive intellectual failure in aged people. In addition to APP localized on human chromosome 21, the major causal gene of early-onset familial AD was identified as presenilin 1 (PS-1) localized on 14q24.3. The final identification of PS-1 as the causal gene for Alzheimer's disease was concluded based on finding of the point mutations in the candidate cDNA linked with pedigrees with early-onset familial AD. PS-1 is predicted to encode a 467 amino acid protein from the deduced ORF of the cDNA.
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