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はじめに
PET(positron emission tomography)スキャンが実用に供されてからもう20年以上になる。すでに多くの総説があるのでその原理に関しては説明の必要はないであろう11,26,28,30)。簡単にいえば,主として脳の形態的変化を表すCTやMRIと異なり,脳内に短半減の放射性核物質を送り込んでそれが集積され,そこから放出される陽電子のエネルギーをとらえて脳の機能的状態を表出するのがその特徴といえる。侵襲がすくなく生体で脳の機能的状態をみることができることから当然,パーキンソン病をはじめとする機能的疾患についても多くの研究が行われている2,4,15,32,36)。図1は現在パーキンソン病と関連してPETで用いられている放射性トレーサーの主なものをシナプス前,後にわけて示したものである。
われわれはパーキンソン病などの異常運動の定位的脳手術の症例についてその術前の状態に重点をおいて検討を行い,術中の脳深部電気活動との関連に注目してきた。しかしパーキンソン病の病態に関するこれまでの研究成果は当初期待したほど単純ではなく,必ずしも一致した結果はえられていない。そこでこの論文ではこれまでの研究を簡単に概観したうえで,われわれの行っている研究について述べてみたい。
Positron emission tomographic studies on the local cerebral blood flow, oxygen metabolic rate, glucose metabolic rate in the basal ganglia of Parkinson's disease were reviewed. In the previous studies, it was claimed that the blood flow in frontal region was decreased significantly in Parkinson's disease, and this was recovered by administration of L-Dopa due to direct action to the cerebral blood vessels. The specific change in blood flow or metabolic rate in the basal ganglia was detected only in cases with hemiparkinsonism, in which more activated state was demonstrated.
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