Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
セロトニン作動性神経は中枢神経系の広領域にその線維・終末を分布させ,さまざまの行動,生理機能(情動系,精神心理系,自律系,鎮痛系,運動系など)に影響を与えている38)。海馬,扁桃核,視床下部,縫線核,脊髄後角など多くの部位で,セロトニンは抑制性作用を示すが,その運動機能への関わり方をみると,呼吸,歩行,咀嚼,表情形成などに関連する運動神経に対しては興奮性(促通性)作用を示す16)。一方,セロトニンを含有する細胞の活動は,睡眠・覚醍リズムに対応して変動する。睡眠時にはスパイク発射が減少または消失する26)ので,神経終末からのセロトニン放出は減少することとなる。それゆえ,セロトニンによる興奮性効果を受ける運動神経は,睡眠時に脱促通(抑制)される可能性がある。このような機構が,上気道の気流を調節する呼吸性運動神経に認められることを本稿では取りあげる。すなわち,上気道に投射する呼吸性運動神経へのセロトニン性入力を,神経生理学,免疫組織学,薬理学の方面から検討した。そこで得られた結果は,睡眠時に気道が閉塞し易くなる傾向を示しており,これは睡眠時の呼吸調節異常の生理的基盤を形成していると考えられる。なお,セロトニンと運動機能との関係をより包括的に検討するために,脊髄や脳幹の各種運動神経のデータを織りまぜつつ,最近の関連する知見を整理した。
Serotonergic neurons of the brain stem raphe nuclei form extensive networks throughout the central nervous system and function in the control of a diversity of physiological and behavioral activities. Serotonin (5-HT) has a predominantly excitatory action on motoneurons located at various levels of the neuraxis. There is evidence that orofacial motoneurons (facial, trigeminal and hypoglossal) are facilitated by 5-HT. In this connection, we have demonstrated that inspiratory laryngeal motoneurons located in the nucleus ambiguus are excited by microinjection of 5-HT.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.