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はじめに
海馬領域(脚注)は短期記憶と記憶形成機構に関与する部位として注目され,近年分子生物学・薬理学・生理学などさまざまなアプローチからの研究が活発である。解剖学的にも1970年代以降,HRPや蛍光色素による逆行性標識法,オートラジオグラフィーやPHA-Lによる順行性標識法が使用され,神経結合の解析がきわめて進んだ脳部位である。これらの神経結合所見から,海馬の構造について新たな見方も生じてきたように思う。一つは,等皮質の層と海馬各領域との等価関係を神経結合の観点から考察する試みである46)。海馬各領域の神経結合様式の特徴がわかってきたこと,なかでも海馬の皮質下出力がアンモン角ではなく海馬台であることが実験的に証明されたことから可能になった。もう一つは,従来のラメラ仮説8)にとどまらず,抑制系も含めた長軸方向の回路系を考慮する必要性が提示されていることである。歯状回門の細胞,CA3錐体細胞など数種類の細胞や貫通線維束の投射が,実際には海馬長軸方向にかなり広がっていることが示されたことが契機となった。本稿では,これらの二点を中心に海馬領域の神経結合を概説し,海馬の細胞構築上の領域区分について考察する。
The connectivity of each subfield of the hippocampal formation was reviewed and the laminar characteristics of the hippocampal subfield was disscussed with comparison of the laminae of the isocortex.
The dentate granule cells give rise to their collaterals terminating in the hilar region (CA4) and the stratum lucidum of the CA3 region. The axons of the hilar cells project to the inner one third of the dentate molecular layer bilaterally.
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