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はじめに
くも膜下出血(SAH)発生後遅発性(4~5日)に出現しその後約10日~2週間持続する血管内腔の狭小化は,晩期脳血管攣縮(VS)と定義されており臨床的にきわめて重要な現象である1)。VSの発生機序解明のために行われた数多くの研究にもかかわらず,それは未だ不明のままである。
これまでのVSにおける動脈壁平滑筋収縮を対象にした研究は,血管平滑筋の収縮機構に関して一般的に受け入れられている次のような考え方を基盤にしている。すなわち,アゴニストによるリセプター刺激は,細胞外からカルシウムの流入および,細胞内カルシウム貯蔵部位からのカルシウム動員―細胞内カルシウム濃度(〔Ca2+〕i)の増大―カルシウム―カルモジュリン複合体形成―ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)活性化―ミオシン軽鎖リン酸化―アクチンミオシン間の相互作用という一連の機序によって張力を発生する2,3)。VSの本態が上記の機序による動脈壁平滑筋の収縮であるとすれば,原因物質が何であっても,それはカルシウム拮抗剤によって抑制されるはずである。しかし,VSがカルシウム拮抗剤により緩解しないことは,数多くの報告で指摘されている4)。したがって,VSが,カルシウム依存性の血管平滑筋収縮とは無縁であるか.あるいは平滑筋収縮機構についての従来の考え方に不備があるのか,という可能性について検討する必要がある。
We have already reported the possible participation of PKC activation in the occurrence of chronic vasospasm after subarachnoid hemorrhage, from the following experimental evidences. Transclivally exposed basilar artery (Day 7) of beagle dog, subjected to two-hemorrhage, was significantly dilated by superfusion with Krebs solution containing H-7 or Staurospoine, a PKC inhibitor, but was uninfluenced by that containing classic antagonist, calmodulin antagonist (W-7, R24571) or calcium channel blocker (Nicardipine). Futhermore, 1, 2-diaclyglycerol (DAG) content of basilar artery began to significantly increase on Day 2 and stayed at the level until Day 7.
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