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はじめに
白質を主体にした出血に関して,我が国では,「皮質下出血」という特有な命名でまとめられており,いわゆる脳葉型出血(lobar cerebral hemorrhage)と同様に用いられている。この皮質下出血はCT出現以前は診断もむずかしく,また明らかな診断が付けにくいこともあったが,CT出現以後には皮質下出血そのものの頻度が,従来考えられていたより高いことが判明した。しかも,その出血の原因が,最も頻度が高いと考えられていた高血圧性以外に,脳動脈瘤,脳動静脈奇形,脳腫瘍,血液疾患,抗凝固療法などの頻度が高いことが認められている1,2)。
さらに出血原因以外にも,背景因子として白質内細動脈の硝子様変化やこれらの動脈の高度狭窄を認めた。この硝子化や狭窄は,Binswanger型のprogressive subcortical vascular encephalopathy(PSVE)の60%にみられ,さらに脳出血の40%にもみられており3),いわゆるBinswanger病などとの共通の血管病変が脳出血の背景に存在している。深部白質の慢性的なhypoperfusionは,PSVEと大きく関連しているが,一方,細小動脈の硝子様変化と小動脈の血管壊死が併存し,高血圧が持続する場合,脳出血をきたす原因の一つとなる3)と考えられている。
Intracerebral hemorrhage in white matter is called a lobar hemorrhage or subcortical hemorrhage in Japan.
Lobar hemorrhage was 10~15% of intracerebral hemorrhage in Japan. Putaminal hemorrhage, thalamic hemorrhage, cerebellar hemorrhage and pontine hemorrhage were 35~40%, 30%, 5~10% and 5~10%, respectively.
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