Japanese
English
特集 脳機能の画像化
序論
Introduction.
久留 裕
1
Yutaka KURU
1
1順天堂大学医学部放射線科学教室
1Department of Radiology, Juntendo University School of Medicine
pp.683
発行日 1990年10月10日
Published Date 1990/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431900063
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- Abstract 文献概要
1972-73年にX線CTが実用に供されるまでは,血管腔または髄液腔の造影によってのみ脳の形態の観察を行なうことができた。その観察はもっぱら脳の表面に限られていたといってよく,その理由からsurface anatomyというのがこれら画像診断の別称になっていた。X線CTの出現によって,マクロスコピックな脳実質の像が得られるようになり,脳の観察研究は新しい段階に入ったといえる。本特集でとりあげられたような脳の機能的側面の観察が,このX線CTによってただちに可能になったわけではなかった。しかし,1970~80年代に完成されていった各種modalityの画像作成のいくつかのプリンシプルが,既にX線CT開発の段階で確立された点はとくに強調されなければならない。
その一つは,脳の画像が全体像でなく,正確な断層像としてつくられるようになったことである。断層像は必ず一定の基準面に対して一定の距離にある層の画像としてつくられなければならない。画像情報のうえで精度が求められるのは,まず脳の各部分の位置決めであるから,脳の機能の変化を検索する場合でも,この位置決めの正確さが第1の前提条件となる。Xe-CT―それがhotXeを使用したものであっても,cold Xeを用いたものであっても―,あるいはSPECTやPETでも常に正確な断層像をつくることができなければ,健側との比較やROI内の変化を検討することはできない。
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