Japanese
English
特集 頭頂葉の新しい機能地図
内側頭頂後頭皮質の到達運動と把握運動制御における役割
Role of the medial parieto-occipital cortex in the control of reaching and grasping movements
Claudio Galletti
1
,
Dieter F. Kutz
1
,
Michela Gamberini
1
,
Rossella Breveglieri
1
,
Patrizia Fattori
1
,
村田 哲
2
Claudio Galletti
1
,
Dieter F. Kutz
1
,
Michela Gamberini
1
,
Rossella Breveglieri
1
,
Patrizia Fattori
1
,
Akira Murata
2
1ボローニア大学人間・一般生理学部門
2近畿大学医学部第一生理
1Dipartimento di Fisiologia Umana e Generale, Universita di Bologna
2Department of Physiology, Kinki University School of Medicine
キーワード:
V6A
,
V6
,
背側視覚経路
,
視覚性運動失調
,
視覚運動変換
,
到達把握運動
Keyword:
V6A
,
V6
,
背側視覚経路
,
視覚性運動失調
,
視覚運動変換
,
到達把握運動
pp.543-556
発行日 2004年8月10日
Published Date 2004/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431100210
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内側頭頂後頭皮質は,背内側視覚経路の中心的な位置を占める。最近のマカクザルを使った生理学的研究では,内側頭頂後頭皮質には,視覚領野のV6野と視覚運動野のV6A野の二つの領域が含まれていることが明らかになっている。V6野は網膜局在性をもった視覚領野で,V1から直接,形や運動視の情報を得ており,背側視覚経路のV6Aを含む他の領域と密な結合が認められる。V6Aは,視覚と体性感覚の多種感覚領野で,到達運動や把握運動に必要な物の形や動き,空間についての視覚的な情報を処理する領域である。V6Aの体性感覚や運動に関連した活動は,上肢の運動に影響を及ぼし,到達運動のトランスポートの期間や把握運動の両方に関連するのである。最後にV6Aは,腕の運動の制御に関わる背側運動前野と強い相互結合がみられる。これらのデータから導かれるのは,内側頭頂後頭領域が,到達把握運動のオンライン視覚制御において,遠位と近位の両方の運動をコントロールする機能を備えているということである。このような考えに一致して,サルのV6Aの選択的損傷は,対側の腕の視覚誘導性到達把握運動において,到達運動と把握運動の障害を引き起こす。この症状は,視覚性運動失調の患者にみられるものとよく似ており,ヒトとサルの上頭頂小葉は相同の脳領域で,視覚性運動失調がヒトのV6Aの破壊によって起こることが示唆される。
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