連載 臨床医のためのワンテーマ腫瘍病理[11]【最終回】
我が連載のニュアンス
市原 真
1
1札幌厚生病院病理診断科
pp.171
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200392
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医療現場の内外で、しばしば、「見ると診るとは違う」というモチーフが描かれることがあります。『胃と腸』(医学書院)にもかつてそのような連載がありました。この命題は、病理診断を考えるときにも避けては通れません。
HE染色によってなんらかの構造がしっかり染まっていても、病理医が所見の意味を理解できないことがあります。例えば、desmoplastic reactionをはじめとするがん微小環境は、病理診断医にとっては近年「ようやく診ることができるようになった」ものです。がん細胞そのものを見極めることに没頭していたために、がんの周囲間質に起こっている変化の重要性にはなかなか気づけませんでした。見えていても、診ていなかったということです。
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