特集2 上手な予測と現場ですぐできる予防策で快適な治療を実現しよう 先回り式抗がん薬副作用対策トリビア
症状別副作用対策
経口抗がん薬による高血圧へのシステム的対応
篠原 旭
1
1国立がん研究センター東病院薬剤部
pp.280-285
発行日 2018年7月15日
Published Date 2018/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200292
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分子標的薬による副作用には副作用対策のシステム作りが重要!
分子標的薬の登場以降、がん患者の予後は改善してきた。しかし、従来の殺細胞薬では認めなかった高血圧・手足症候群・甲状腺機能障害などの独特な副作用を認めるようになっている。これら分子標的薬には経口抗がん薬も多く含まれるため、患者の副作用に対する理解と在宅における自己管理が非常に重要になってくる。
当院では、経口抗がん薬の分子標的薬のひとつであるソラフェニブ(ネクサバール®)において、チーム医療を行なうことで副作用を適切にマネジメントし、治療効果を最大限に発揮させている。医師や薬剤師、看護師、治験コーディーネーター、ソーシャルワーカーなどが協働し、肝細胞がんを対象として立ち上げた「チームネクサバール」である。ソラフェニブの副作用対策や患者教育、サポート体制の統一をチームとして行なうことで、有害事象による治療中止を減らしている。肝細胞がんに対して行なわれた第Ⅲ相試験(SHARP試験1、Asia Pacific試験2)や特定使用成績調査3では、有害事象による中止割合が19.5〜47.5%であるのに対して、当院では8.8%と非常に低い頻度(Table1)1〜3となっており、チーム医療の有用性・重要性を示す結果となっている。
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