Feature Topic 最期の最後のがん診療
システムと教育
腫瘍内科医とかかりつけ医が伴走する二人主治医制
川越 正平
1
1あおぞら診療所
pp.438-443
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200226
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「二人主治医制」の構想ができるまで
実は私は、「主治医」という概念について学生の頃からこだわりをもって考えてきました。研修医だった頃に最初の本である『初期プライマリケア研修』(1994年)、その続編の『学生のためのプライマリケア病院実習』(1995年)を出し、多くの医学生の研修相談に乗ってきました。そして3冊目の『君はどんな医師になりたいのか』(2002年、3冊全て医学書院)でがんでも糖尿病でも心療内科でもとにかく丸ごと引き受ける「主治医」へのこだわりや思想は明確になっていきました。
卒業は1991年で、研修は前期・後期ともに東京の虎の門病院です。虎の門病院は「最初から最期まで患者を診る」という気風をもっている病院です。研修カリキュラムも内科全科と外科・麻酔科のローテートが必修でした。一方で、2004年以前の日本の平均的な医学教育は、神経内科や整形外科など入局した医局毎のストレート研修形式がほとんどでした。結果として、臓器別専門医の養成に偏り、患者を全人的に診るという教育や理念はそれほど強調されていませんでした。私の場合、研修を終えてそのまま虎の門病院で血液内科のスタッフになりましたが、血液疾患の場合、特定臓器だけを対象にするわけではなく、全身にどんなトラブルが生じようとも、疾患の性質上も他科に転科させるようなことはありません。必ず「主治医」として丸ごと引き受けることから、自分自身は「専門医」というより「主治医」として診療に携わっていました。
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