連載 フロンティア・リポート[4]
温故知新—リアルタイム質量分析法を応用してがんの基礎研究も可能です
新間 秀一
1
,
竹田 扇
2
,
吉村 健太郎
2
1大阪大学大学院工学研究科生命先端工学専攻
2山梨大学大学院総合研究部解剖学講座細胞生物学教室
pp.632-636
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200141
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PESIのポテンシャルと将来構想
前回は探針エレクトロスプレーイオン化法(probe electrospray ionization;PESI)という新しいイオン化法による質量分析と、そこで得られたデータを漏らさずに全て活用してがんの診断支援を行なう装置をご紹介しました。これを読まれて、皆さんはいろいろな疑問や意見をもたれたことと思います。例えば、「得られたデータを全て使うと言うけど、なにが診断の決め手になっているのかな」、「分子推定(point1)は行なわないと言うけど、それだと病態生理の研究に発展させることができないよね」、「迅速・簡便・低侵襲と言うけど、今の装置だとそのまま生きたままの患者に使うのは難しいのではないかしら」、更には「人工知能でもいろいろ話題になっているけど、これが実用化されると病理医が失職してしまうのでは」などなど。
確かに、こんな意見が出てくるのはごもっともで、学会などでもよく指摘されます。今回はこれらの疑問に答えながら、この装置のポテンシャルと将来構想を披露したいと思います。
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