連載 レジデントのためのオンコロジーカンファレンス[4]【最終回】
オンコロジック・エマージェンシーに対処せよ!
勝俣 範之
1
1日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科
pp.572-582
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200130
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60歳男性、骨に異常を認める
勝俣 患者は、60歳、男性。主訴は上半身の痛みです。3年前の8月に他院(前医)で僧帽弁逸脱症(point1)弁置換術を行なった際に、骨に異常があると指摘されました。その後、泌尿器科を受診しましたが前立腺がんなどの指摘はありませんでした。11月に上半身の痛みが出て前医を受診したところ、ALP上昇と骨シンチでの多発骨転移を指摘されました。全身CTで内臓転移はありませんでした。12月に原発不明がん疑いで当院の腫瘍内科に紹介されました。
原発不明がんと診断するには原発巣がないことの確認と、がんの確定診断をしないといけません。前医で消化管のがんを否定していないので上下部内視鏡検査を依頼し、外来で骨生検をやりました。これらの結果から多発骨転移と診断し、疼痛コントロールとしてモルヒネ(MSコンチン®)を処方しています。既往歴は3年前より狭心症で、家族歴は父が胃がんの既往があり、肝臓がんで亡くなられています。生活歴は広島で被曝歴がありました。
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