連載 目から鱗のがん薬物療法─薬学的視点からみたケーススタディ[1]【新連載】
経口抗がん薬のアドヒアランスの評価について
川上 和宜
1
1がん研有明病院薬剤部
pp.138-141
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200024
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薬剤師が伝えたい経口抗がん薬のadherenceの重要性
・近年S-1、カペシタビンはそれぞれ、胃がん、大腸がんの標準療法のひとつとして有用性が証明されています。さらに、トリフルリジン・チピラシル(TAS-102)ⅰやアファチニブⅱなど新しい経口抗がん薬も発売され、臨床現場で多く使用されるようになってきました。しかし、経口抗がん薬は医師が処方した後、患者が自宅で正しい用法・用量で服用しなければ薬の有効性は担保されません。経口抗がん薬のアドヒアランス(服薬順守)を外来で誰がどのように確認するのかは、いまだ多くの病院で明確ではない状況です。
・実際に、経口抗がん薬を飲めなかったことを医師に伝えられず、薬剤師が確認すると、自宅に多くの抗がん薬が残っていたケースがありました。自宅にある経口抗がん薬を自己判断で服用した場合、休薬期間などが適切に守られず、重篤な副作用が発現する危険性があります。さらに、残薬は医療資源の無駄使いという視点から、社会的問題にもなっています。
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